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何かと心配になりやすい元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

【チャンク化】楽器をやってると記憶力が高くなるのかもしれないっていう研究のお話

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こんにちは、なすびです。

 

幼少期から音楽をやってると賢い子が育つんじゃない?』って話はありますが、『楽器をやってると普通の人より記憶力が高くなるぞ!』っていう話が個人的に朗報だったのでまとめておきます。

 

これは2018年の発表された論文になりまして、過去に行われた『音楽経験と記憶力』に関する適格な29件のデータを統合したメタ分析なってます。(P)

 

ポイントとしては

 

  • 参加者の平均年齢は約23歳と若い(お年寄りや子供が含まれてない)
  • 楽経験がある人、ない人の2つのグループに分けての比較
  • 音楽訓練の最短期間は4年で、平均は13.73年

 

という感じで、参加者は20〜30代を中心に行っているのと音楽家を対象にしてることもあり楽器の経験年月はかなり長めな印象です。

 

でもって、記憶力の評価に関しては、

 

  • 長期記憶(研究数 N=10)
  • 短期記憶(研究数 N=16)
  • ワーキングメモリ(研究数 N=16

 

と分類した上で、それぞれメタ分析を行ってくれてます。

 

ちなみにそれぞれについては

 

  • 長期記憶:基本的に忘れることがない (例:家族の名前、楽器の弾き方)
  • 短期記憶:長期記憶にならなければ基本的に忘れる(例:期末テストに出る用語を覚える、ある曲のフレーズを短時間で覚える)
  • ワーキングメモリ:短期記憶を保持しつつそれに手を加えるタスクが伴う(例:2桁以上の暗算とかNバックテスト)

 

というイメージを持ってもらえれば結構です。

 

このように記憶力を細かく分類した上で『音楽経験がどんな記憶力に影響があるのか?』について調べてくれてるんですが、そんな分析結果を見てみますと、

 

  • 長期記憶は高める効果は小程度【Hedges g = .29、95% CI (.08-.51), p = 0.008】
  • 短期記憶を高める効果は中程度【Hedges g = .57、95% CI (.41-.73), p < 0.001】
  • ワーキングメモリーを高める効果は中程度【Hedges g = .56、95% CI (.33-.80), p < 0.001】

※【効果量】小 = 0.2~0.5;中=0.5~0.8;大>0.8

 

とのことで、全体的に音楽経験がある人は無い人より記憶力が高いという結果になってますね。ただ長期記憶は感度分析や出版バイアスを考慮したすると効果量が小さくなっちゃったので、めぼしいのは短期記憶とワーキングメモリーの向上ってことになりそうです。

 

 

楽家は特にリスニング系の能力が高い

でもって、含まれた研究では短期記憶やワーキングメモリを測るためにいろんなテストをやってるんですけど、

 

 

  • 特に耳から入った情報を記憶に定着させる能力が高いのかもしれない!!

 

 

ってことで、どうやら文章を読んで内容を覚えるよりは人が喋った内容を記憶する方が得意かもしれないんだそう。実際に含まれた研究の中では前者は違いがないっていう結果が出ていて、後者だと音楽家の方が能力が高いって結果になってたんで、そう考えると音楽経験が長い人は読書よりオーディオブックの方が記憶に残りやすいのかもしれませんな。

 

 

記憶力が高い理由はチャンク化

で、なぜ音楽家の方が記憶力が良いのか?ってところなんですが、研究者曰く『楽器練習でチャンク化する能力が養われるからではないか?』という仮説を立ててまして、

楽器を演奏することを学ぶには、楽譜と音符の音、そして運動反応を関連付けることが必要です。個人はまず、譜面と音と運動動作を関連付けることを特定の練習によって学習します。

〈中略〉

音楽トレーニングはチャンキングのような能動的な学習戦略を育てるかもしれない。実際、楽譜を覚える際には、メロディーを記憶に定着させるためにチャンキングが不可欠である。チャンキングは連続した項目を記憶する能力を向上させるので、音楽家は短期記憶課題やワーキングメモリ課題において、音楽家以外の人よりも効率的なチャンキング戦略を用いているのではないかと考えられます。

とのこと。

 

チャンクキング戦略(チャンク化)っていうのは『記憶の定着を測るテクニック』のようなもので、例えば単語を語呂で覚えたり、11桁の数字も電話番号みたいにすれば覚えるといったように、何か別のものに関連付けて1つの塊にするみたいな感じなんです。過去に紹介した記憶術だと「ドローイング効果」や「カテゴリークラスタリングリコール」はチャンク化の一例ですね。

 

つまり楽器の練習をすることによって記憶力を上げる力も養われてるっていうことですな。

 

自分も趣味でベース練習はするんですけど、確かに曲を覚える時は、耳で覚えつつ、左手で弦を押さえる動き、右手でリズムに合わせて引くように、音以外にも曲を思い出せる要素があるんでチャンク化されてるな〜と思う次第です。

 

ただこの研究だと「どのくらいの音楽経験を積む必要があるのか?」「どんな楽器がいいのか?」みたいなところまでは調べてられてはないんですが、ピアノでもギターでも根本的には似てる部分があると思うんでこの辺は好きなものをやってもらえるといいんじゃないでしょうか。

 

個人的には認知症とかの予防にもなりそうなんで、楽器は末長く続けていきたい趣味だな〜と思ってます!