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何かと心配になりやすい元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

『幼少期に音楽を習うと頭が良くなる説が怪しくなってきたぞ!』っていうメタ分析のお話です


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こんにちは、なすびです。( ˙꒳˙ )

 

『子供の習い事は音楽が良い!』といった話は耳にしたことがあるかもしれませんが、この辺ついては過去の研究でも

 

小さい頃から音楽を習ってる人は将来的に

 

  • IQ(知能指数)が高い
  • 学業成績も高い
  • 記憶力といった認知能力も高い

 

という傾向が出てているため、若いうちに音楽をやっとくと優秀な子に育つかもしれない!という印象があるわけですね。(P)

 

もしかしたらこのような理由から子供に音楽をやらせてみているという方もいるかもしれませんが、今回は「若いうちに音楽をやらせても頭が良くならないかもしれない、、、」という説が爆誕しておりましたので、まとめておこうと思います。

 

 

 

音楽を習うと頭良くなるのか?については研究結果が一致してない問題

まず初めに、若いうちに音楽やっておくと頭良くなる説はなぜ怪しいのか?ってところなんですが、研究者のいわく

空間能力、記憶力、学業成績、一般的な知能などのスキルに対する音楽トレーニングの影響は肯定的な結果が常に再現されているわけではないので、まだまだ議論の余地がある。

とのことで、研究によって効果のあるなしがまちまちな感じであると。

 

でもって今まで分かっているようなメリットはあくまでも「音楽をやる子はIQが高くなる」といった傾向なので、もしかしたら音楽トレーニングをこなせるような子は元からの頭がいいのかもしれませんし、楽譜を覚えるのが得意な子は音楽をやらなくても記憶力が高くなったかもしれないといった、別の要因が混ざってる可能性が否定できないわけですね。

 

なので現状だと「子供の習い事には音楽がベストだ!」と声を大にして言いにくい部分もあったりするわけですが、今回紹介する2017年にリバプール大学が発表した論文がその辺についてガッツリ調べてくれてていい感じでした〜。

 

やはり頭を良くする効果はそこまでないのかもしれない、、、

この論文は過去に行われた「音楽トレーニングと子供の認知機能」に関する研究を166件スクリーニングし、その中から的確な38件の研究を選んで統合したメタ分析になってます。(P)

 

集めたデータは1986年から2016年と過去30年分のデータをまとめていて、サンプル数も3085人(年齢は3歳〜16歳)と中々の労作。「子供のうちに音楽を習うと将来的に頭は良くなるのか?」については、現状で大きな結論が導き出せるのではないでしょうか。

 

でもって、まずはこの論文でいう『音楽トレーニングとはなんのことを指すのか?』についてまとめておくと、

 

  • 歌を歌う
  • 楽器を演奏する
  • リズムに合わせてハンドクラップ
  • ダンス

 

といったもので、イメージ的には音楽の授業であったり、ピアノを習うといった音楽教室のイメージを持ってもらえるといいと思います。

 

そしてこの論文では『音楽で頭が良くなるのかどうか?』について、主に2つの観点から調べてくれてまして、

 

  1. 音楽トレーニングが認知能力と学力を向上させるかどうか?または音楽で培った能力が別のフィールドでも生きるのか?(音楽習うと数学の成績も上がるのか?みたいな)
  2. 音楽トレーニングが特定のスキルを他のスキルよりも向上させるかどうか?(音楽はIQには特に影響はないけど、記憶力を上げる効果が大きいのかも!みたいな)

 

といった、ポイントを細かく見てます。

 

例えば、音楽トレーニングをすることで1つのとの事に対しての集中力や養われたり、ワーキングメモリーといった記憶系の能力が鍛えられたりするんですけど、それが他の分野(ここでは学業成績とかIQ)などにも影響を与える可能性は十分にありますからね。

 

でもって、今回のメタ分析では『本当に頭の良さに現れてるのか?』について詳しく見てくれているわけなんですが、そんな結果はというと

 

  • 全体的に音楽が学力などに与える影響力は小さかった【効果量:d =0.16】
  • IQ(知的指数)の向上に対してはぼちぼちな効果があった【効果量:d=0.35】
  • 記憶関連の認知機能に対してもぼちぼちな効果があった【d=0.34】
  • しかし効果の大きさと研究デザインの質は逆相関してた(質の良いデータほど、音楽の効果が小さくなる)

 

※d =0.5以上だと、科学的には効果有りとされることが多いです。(1)

 

出版バイアスの影響も特にないとのことなんですが、全く役に立たないわけでもない一方で、そこまで大きな効果があるわけでもないんだそう。

 

一応結果としては記憶力やIQといった部分にはぼちぼち影響力がありそうなんですが、それが学業成績の方にほとんど影響を及ぼしてないんですよね、、、。

 

『いや、これって年齢によって効果の大きさ違うんじゃないの??』と思う方もいるかもしれませんが、その辺についてはメタ回帰分析で調べてくれていて、

 

  • 年齢は有意なモデレーターではなかった【p = 0.944】

 

ということで、8歳で始めると効果が大きい!みたいに年齢によって効果の大きさが上下するといった関連性は特に見受けられなかったそう。

 

※ここから【まとめ】まで読み飛ばし可能性です

 

さらにこの研究では特にデータの質が良いほど効果が小さくなる傾向がありまして、つまり効果ありっていう結果が出ている研究ほど

 

  • ランダムにグループ分けしないで比較してない(ベースラインの数値が偏る)
  • アクティブ群やコントロール群を設けてない(音楽が学力などに及ぼす真の影響が分からない)

 

といった具合にデータの質が少々悪い傾向があると。一応結果として、IQが高くなるだったり、記憶力が高くなるって結果は出たものの、この辺は質の悪いデータの結果が偏って出ているだけかもしれないんだそう。

 

このへんはマニアックな話になりますが、音楽トレーニングがその子にとって目新しい経験だから一時的にプラスの影響があるだけで、別に新しい体験なら音楽でなくてもいい可能性も出てくるわけですね〜。

 

 

 

まとめ

ということで、最後にサラッとまとめますと、

 

  • 音楽トレーニングで学力や頭が良くなるかといわれると、そこまで大きな効果はない
  • IQや記憶力にはそこそこ効果があるのかもしれない
  • デザインのいい研究ほど効果がない傾向にあるので、ちょっと厳しいかも、、、。
  • 何もやらないよりは確実にやった方がいいが、頭がを良くする目的ならスポーツやその他芸術といった、音楽以外でもかまわない

 

といった感じでしょうか。内容的には音楽トレーニングを批判的に見るような感じになってしまいましたが、もちろん音楽が悪いという訳ではないので解釈にはご注意を!!

 

今回はあくまでも頭の良さ的な部分に絞った研究なので、合唱やバンドのように音を合わせることが人との協調性を育むかもしれないので一概に言えるわけではないですからね〜。

 

なので、この辺の解釈としては子供の頭を良くするために音楽を習わせるのは間違ってる可能性があるぞ!ということで、学業成績あげるためとかなら普通に勉強させた方が良さそうな感じではあるのかなと。

 

もちろん音楽を好きでやってるのであればそれでベストだとは思うんですが、もし興味を持てそうになければ、スポーツ系でもワーキングメモリーといった頭が良くなる要素は十分養えますので、このへんは子供に興味を持てるものをやらせるのが1番なのではないでしょうか。(2)( *¯ ꒳¯*)✨

 

その他参考文献

(1)心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門

(2)脳を鍛えるには運動しかない